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Selected Publication


*Corresponding Author, +Equal Contribution


  • T. Sasaki+, VC. Piatti+, E. Hwaun, S. Ahmadi, JE. Lisman, S. Leutgeb, JK. Leutgeb*
    Dentate network activity is necessary for spatial working memory by supporting CA3 sharp-wave ripple generation and prospective firing of CA3 neurons.
    Nature Neuroscience, 21: 258-269, 2018.

     複数の報酬の場所を覚えるような迷路課題をラットに解かせて、海馬-歯状回が作業記憶に必要な脳領域であることを示した。また、海馬の神経細胞は、保持すべき空間作業記憶に対応して、活動パターンを動的に変化させることを示した。



  • T. Sasaki, S. Leutgeb, JK. Leutgeb*
    Spatial and memory circuits in the medial entorhinal cortex.
    Current Opinion in Neurobiology, 32: 16-23, 2015.

     2015年までに解明された、海馬の場所細胞(place cell)と嗅内皮質の格子細胞(grid cell)の知見についての総説。これらの細胞の発見は2014年のノーベル賞の対象になった。 一般に、海馬の場所細胞は、様々な格子細胞からの入力の統合によって形成されると考えられてきたが、このようなシンプルなモデルだけでは説明できない知見が得られつつある。



  • K. Beppu+, T. Sasaki+, KF. Tanaka, A. Yamanaka, Y. Fukazawa, R. Shigemoto, K. Matsui*
    Optogenetic countering of glial acidosis supressees glial glutamate release and ischemic brain damage.
    Neuron, 81, 314-320, 2014.

     光感受性分子ChR2,Archを細胞内pHを操作するためのツールとしてアストロサイトに適用した。ChR2の活性化により、アストロサイトを酸性化すると、グルタミン酸の放出が起こる。このようなグルタミン酸放出は、虚血時の神経細胞死と模倣していると考えられる。 逆に、Archの活性化により、虚血時のアストロサイトの酸性化を抑制すると、神経細胞死を抑制できることを示した。



  • T. Sasaki*, N. Matsuki, Y. Ikegaya
    Targeted axon-attached recording with fluorescent patch-clamp pipettes in brain slices.
    Nature Protocols, 7: 1228-1234, 2012.

     蛍光ガラス電極を用いた軸索パッチクランプ記録法について、その詳細な実験プロトコールを述べた論文。また同様の技術を用いて、軸索内を伝播する活動電位を解析したところ、細胞体において増幅した活動電位は、軸索の空間的配置に依存して元の形に減衰し、次の細胞へのシナ プス出力に影響を及ぼすことを見出した。



  • T. Sasaki+, K. Beppu+, KF. Tanaka, Y. Fukazawa, R. Shigemoto, K. Matsui*
    Application of an optogenetic byway for perturbing neuronal activity via glial photostimulation.
    Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 109: 20720-20725, 2012.

     遺伝子ノックイン技術を用いて、テトラサイクリン制御性の遺伝子発現システムを改良し、ChR2 をアストロサイトに選択的に発現した遺伝子改変マウスを作製した。これらの小脳アストロサイトを光刺激すると、グルタミン酸の放出、小脳プルキンエ細胞の AMPA受容体を介して、神経活動が誘発されることを示した。また平行線維-プルキンエ細胞間のシナプスにおいて、長期可塑性が誘発され、個体行動の解析から、小脳依存性の運動学習を制御するのに十分であることが示された。



  • T. Sasaki, N. Matsuki, Y. Ikegaya*
    Action potential modulation during axonal conduction.
    Science, 331: 599-601, 2011.

     活動電位の発生および伝播は、イオンチャネルの活性化に依存し、全か無かの法則のような単純な現象では記述できない。つまり軸索演算は、教科書的な理解に反して、アナログ 的な振る舞いを示し、これはニューロンの出力特性として重要である。しかし、大脳皮質の軸索は微細(直径 1 マイクロm 以下)であるため、電気活動の計測は極めて困難とされる。この問題解決を試み、蛍光タンパク質をコーティングした蛍光パッチクランプ電極を用いて、軸索か ら効率的にパッチクランプ記録を実現する新手法を開発した。 この技術とグリア細胞に関する生理学的知識を融合し、軸索を伝導する活動電位がアストロサイトにより調節されることを発見した。1つの軸索が膨大数のシナプス出力を担っていることを考えると、この現象は、出力先の回路演算を決定しうる影響をもつ可 能性がある。 以上の知見は、計算素子としてのグリア細胞の重要性を強調し、また脳回路演算の時空間的な多様性と安定性を考察する1つの手掛かりになると推察される。